●特集『ペレットの普及に向けて』

ペレットストーブ,一冬の体験談

利用部 物性利用科 折橋 健


 1.はじめに

 近年,道内の各種イベントあるいは報道を通して,ペレットストーブに関する情報が発信されています。これをきっかけとして,ペレットストーブに関心を寄せられ,使用を検討されている方もいらっしゃるかと思います。
 昨シーズン,我が家ではペレットストーブを使用して一冬を過ごしました。今回,その体験について書く機会を得ましたのでご紹介します。


 2.我が家の概要

図1 部屋の配置

図1 部屋の配置

 家族は,私と妻の2名で,共働きです。住居は,旭川市内の鉄筋コンクリート造4階建てアパート(2001年築,南西向き)です。入居階は3階,間取りは3LDKで,部屋の配置は図1のようになっています。
 我が家は,建物が新しいために気密性が高く,室内天井高も2.3mとさほど高くないことから,暖房しやすい条件と考えられます。暖房が必要な部屋は,居間,キッチン,和室,洋室A,Bで,その広さは計28.5畳です。居間の窓下にFF式ストーブ用の給排気口(φ80mm)があり,ここにペレットストーブを設置しました。
 昨シーズンの周囲の入居状況ですが,3階隣と4階真上は入居状態であり,2階真下は空室でした。


 3.使用したペレットとストーブの概要

 1)ペレット

 滝上木質バイオマス生産組合製のホワイトペレットを使用しました。ペレットは1〜2か月おきに10〜20袋ずつ購入し,アパートとは別棟の物置に保管しました。価格は1袋(15kg)あたり662円(税込)で,別途送料(滝上〜旭川間)が1袋あたり189円(税込)かかりました。なお送料については,配送地域により異なるので,購入時には問い合わせをするなど注意してください。

 2)ストーブ

 サンポット(株)製のいわて型ペレットストーブ(家庭用,FF式)を使用しました(表1,写真1)。このストーブは,滝上木質バイオマス生産組合より賃借しました。

左:表1 使用したペレットストーブの仕様  右:写真1 使用したペレットストーブ

左:表1 使用したペレットストーブの仕様    右:写真1 使用したペレットストーブ


 4.ストーブの使用方法

 1)始動

 始動操作は,運転スイッチをオンにするだけで済みました。程なくしてロストル(燃焼部分)へのペレットの供給が始まり,数分後に着火しました。着火後は,炎の勢いが徐々に強くなり,安定したところでファンが回り出して本格的な暖房が始まりました。

 2)停止

 始動時と同様に,停止操作は運転スイッチをオフにするだけでした。程なくしてペレットの供給が止まり,炎が徐々に弱くなって消火しました。ファンは消火後も回り続け,ストーブ本体がある程度冷めてから停止しました。

 3)運転時間

 おおよそですが,平日は朝2時間,夜4時間の計6時間,休日(在宅時)は朝昼夜各4時間の計12時間,ストーブを運転させました。不在時と就寝時にはストーブの運転を停止しました。

 4)ペレットの運搬や補充

 物置に保管してあるペレットは,週に2〜3袋をアパート3階まで運び上げました。またタンクへのペレットの補充は,平日は2〜3日に1回,休日は1〜2日に1回のペースで行いました。

 5)灰の掃除

 燃焼室及び燃焼室下の灰受けにたまった灰は,定期的に除去しました。燃焼室の掃除は週1回行い,ロストル(燃焼部分)を中心に灰を除去しました。また灰受けの掃除は,2週間〜1か月おきに行いました。


 5.体験談

表2 ペレットストーブ燃焼時の温度変化

 1) 工夫を要した部屋の暖め方

 我が家で暖房を必要とする部屋の広さは計28.5畳です。一方,今回使用したストーブの暖房目安は,コンクリート造19畳であったため(表1),気密性の高い我が家でも全室を一気に暖めるには能力が足りないと感じました。
 寒さも増してきた12月中旬,3か所に温度計を設置し(図1の@〜Bの位置),実際に暖まり方を調べました。その結果,温度上昇がかなり緩やかで,各部屋が暖まるまでに相当の時間を要することが分かりました(表2)。そこで以後は,まず居間を集中的に暖め,ある程度暖まってから戸を開放して他の部屋も暖めるようにしました。こうすることで,活動スペースの中心である居間が早く暖まり,より快適に過ごすことができました。
 早朝や長時間不在であった場合には,室内気温が10℃を下回ることもありました。その際には,上記のように居間を集中的に暖めることに加えて,ストーブのタイマー機能を活用し,暖まるまでの寒さを極力我慢しないで済むようにしました。タイマー機能は,特に寒さの厳しい時期を中心に重宝しました。

 2) 灯油ストーブやガスストーブとの違い

 2.1)始動と停止
 ペレットストーブは,灯油ストーブやガスストーブと比べ,運転スイッチをオンにしてから本格的な暖房運転に入るまでと,オフにしてから完全に停止するまでに若干時間がかかる印象を受けました。ペレットストーブを使い始めの頃は,そのことに少々もどかしさを感じましたが,使い慣れるにつれてそうした気持ちは薄れていきました。

 2.2)ペレットの運搬や補充,灰の掃除
 物置から我が家へのペレットの運搬やタンクへのペレットの補充は,屋外等にタンクのある灯油ストーブやガスが管から直接供給されるガスストーブにはないペレットストーブならではの作業でした。こうした作業は,時々面倒くさいと感じることがありました。やはり灯油ストーブ等に感覚がなじんでいたからだと思います。
 ペレットは,1袋の重さが15kgでした。私は,運搬時にその重さをほとんど苦にしませんでしたが,妻は「袋が重くて大変だ」と言っていました。ペレットの補充については,投入口が高さ95cmの位置にあり,袋を高い位置まで持ち上げなければならず,煩わしさを感じました。ペレットタンクの容量は13kgでしたが,これはペレット1袋分(15kg)に満たず,少々小さいと感じました。妻はタンクがすぐ空になる印象を持ったようです。なお,作業時に室内が汚れたりすることはありませんでした。
 ペレットの運搬や補充に加えて,燃焼室や燃焼室下の灰受けにたまる灰の掃除も,灯油ストーブやガスストーブにはない作業でした。ほとんどの灰は灰受けにたまりましたが,一部は灰受けに落ちずに燃焼室にたまりました。
 使用するうちに気づいたことですが,燃焼室にたまる灰のうち特にロストル(燃焼部分)にたまる灰は,量が多くなるとペレットの燃焼に悪影響を与え,炎が上がりにくくなりました。そこで燃焼室の掃除は,灰受けの掃除以上にこまめに,そして入念に行いました。
 灰受けにたまった灰量は,シーズン通算2.4kg(使用したペレット780kgの0.3%)で,買い物袋1袋分ほどでした。灰は飛散しやすいために,掃除の際に一部が床に落ちましたが,掃除機で容易に吸い取れるため,汚れが残ることはほとんどありませんでした。
 上記のようにペレットストーブには,灯油ストーブやガスストーブにはない特有の作業がありました。ストーブの使い方によっても変わると思いますが,例えば1日1回のペレット運搬と補充,週1回の燃焼室掃除,月1回の灰受け掃除を行うとした場合,これを面倒と思うか否かはペレットストーブに対する評価を左右するように感じました。

表3 各月のペレット使用量と購入費用

 3)ペレットの使用量と購入費用

 各月のペレット使用量や購入費用は,表3のようになりました。使用量は,一番寒さの厳しかった1月を中心に12〜3月に多くなりました。一冬で780kgのペレットを使用し,購入費用は4万4千円余り(税込)となりました。森林整備や地域振興などの面から,道内森林資源の有効利用が叫ばれていますが,微力ながら協力できたように思います。




 4)ペレットストーブの良さ

 ペレットストーブの良さの一つは,ペレットが燃える時に立ち上がる暖かみのある炎です。我が家の訪問者にもペレットストーブの炎は好評でした。妻は「燃えている炎を見ると気分的に暖かくなる」と言っています。私は,夕暮れ時に薄暗くなった部屋の中で眺めた炎が印象に残っています。心がとても落ち着きました。
 また,ペレットストーブからの排気は,灯油などが燃える際に出るような不快な臭いがしません。これも良い点だと思います。


 6.おわりに

 今回,我が家ではペレットストーブを初めて使用しました。何もかもが初体験で,要領を得るまでは戸惑うこともありましたが,結果的には使いこなすことができました。
 基本的にペレットストーブは,灯油ストーブやガスストーブと比べても遜色なく部屋を暖めることのできるストーブだと感じました。ペレットの保管場所が確保でき,給排気口の条件が合えば,一戸建てはもちろんアパートやマンションでも使用可能だと思います。
 一方,ペレットストーブには,ペレットの運搬や補充,灰の掃除など灯油ストーブやガスストーブにはない作業がありました。ペレットストーブの使い勝手は,灯油ストーブやガスストーブと全く同じというわけではなく,使用にあたってはこの点に留意すべきだと感じました。
 今回使用したストーブについては,ペレット投入口の高さやタンク容量など何点かの部分で改善の余地があると感じました。今後,利用者の声が反映され,より使い勝手の良い製品が登場することを期待したいと思います。ちなみに,林産試験場と民間企業は,現在北海道型ペレットストーブの共同開発を行っており,そこでは上記問題点の改善も図っています。
 ペレットストーブの使用を検討されている方にとって,この体験談が一助となれば幸いです。


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